「少額からバンクシーや草間彌生の共同オーナーになれる」「利回り年8%の実績」といった魅力的なキャッチコピーで会員を集めたアート小口投資サービスや、ギャラリー主導の現代アート販売。しかし、実際に資金を投じた一般投資家たちからは、ネットの掲示板やSNS、知恵袋などでシビアな声が噴出しています。
都内のIT企業に勤務する30代男性は、小口化プラットフォームを通じて有名現代アーティストの作品権利を30万円分購入した経験を次のように吐露します。「アプリ上で資産価値が上がっているように表示されても、いざ現金化しようとするとユーザー間の取引量が少なく、提示した希望価格では全く売れない。プラットフォーム運営会社が設定する高い売買手数料を引かれると、最終的には大幅なマイナスになった。実物が手元にあるわけでもなく、何を所有していたのか虚しさだけが残った」
また、プライマリーギャラリーで数十万円の若手絵画を購入した個人コレクターの手記やコミュニティの告白でも、出口戦略の厳しさが浮き彫りになっています。「ギャラリーは『将来有望な作家です』と熱心に勧めてきたが、3年後に資金が必要になり買い取りを打診したら『うちは再販の買い取りは行っていません』と冷たく断られた。国内のオークションに出品しようとしても、査定額は購入価格の10分の1以下。落札手数料や配送料を差し引いたら手元に小銭しか残らなかった」という失敗談は枚挙にいとまがありません。
美術品投資の現場で直面する最大の壁は、「売却コストの重さ」です。サザビーズやクリスティーズ、国内大手のシンワオークションなどに出品する場合、落札価格から出品手数料(10〜15%前後)が引かれ、さらに購入者側も手数料(20〜25%前後)を支払う必要があります。つまり、作品が購入時より最低でも30〜40%以上値上がりしていなければ、投資としては手数料負けして元本を割り込む構造になっているのです。