東京に星の数ほど存在するイタリア料理店の中で、なぜエリオ・ロカンダ・イタリアーナは半蔵門・麹町を代表するイタリアン名店として唯一無二の地位を保ち続けているのでしょうか。飲食業界の専門家や常連客への取材から、3つの明確な要因が浮かび上がります。
第1の理由は、オーナーであるエリオ・オルサーラ氏の経歴と確固たる哲学です。南イタリア・カラブリア州出身のエリオ氏は、ロンドンやミラノの一流レストランで研鑽を積んだ後、1990年代初頭に来日。1996年に自身の城である同店をオープンしました。イタリア食文化の普及と日本・イタリア間の架け橋としての功績が認められ、イタリア政府より「イタリア共和国連帯の星勲章(カヴァリエーレ章)」を受章した経歴を持ちます。その哲学は「ゲストに嘘をつかない本物の食材を提供する」という一点に集約されています。
第2の理由は、カラブリア料理を東京で確立させた本物の食体験覚です。看板メニューである自家製サルシッチャや、カラブリア特産の唐辛子、ペースト状の辛口サラミ「ンドゥイヤ」を巧みに使った伝統料理は、現地の味わいを損なうことなく、洗練されたガストロノミーへと昇華されています。さらに、北海道・札幌に設立した自社工場「ファットリアビオ北海道」から直送されるフレッシュなブッラータやリコッタチーズは、イタリア人チーズ職人が国産生乳100%で仕込む逸品であり、他店では真似のできない鮮度とコクを実現しています。
第3の理由は、「まるでイタリア現地の名士の邸宅に招かれたかのような」劇場型のホスピタリティです。型通りの堅苦しいマナーを強いるのではなく、エリオ氏をはじめとするスタッフ全員が陽気かつスマートに客席を包み込みます。この極上の居心地こそが、多忙を極めるトップエグゼクティブたちがプライベートや重要な商談の場として選び続ける最大の要因です。