結論から明かせば、一般の作業員募集において「日当33万円」がそのまま労働者の銀行口座に振り込まれる求人は実在しません。この莫大な金額の出どころは、事故直後の極限環境下で国や東京電力が大手ゼネコン(元請け企業)に対して支払った「人工(にんく)単価」や、特殊な高線量エリア作業に対する特別枠予算の数値が誤認されて拡散したものです。
原発構内での作業において、発注元が元請けに支払う契約単価には、作業員個人の給与だけでなく、安全管理費、特殊装備(タイベックスーツや全面マスク)の費用、現場管理者の人件費、保険料、さらには企業の利益が含まれています。事故初期の極めて線量が高い現場では、1回あたり数十万円規模の予算が1人あたりに計上されたケースもありましたが、それが「作業員の日当」としてネット掲示板などでセンセーショナルに広まりました。
実際の福島第一原発作業員求人において、2026年現在募集されている一般的な日当相場は日給1万4000円〜2万8000円前後です。特殊な重機オペレーターや高度な溶接技術を持つ有資格者、あるいは原子炉建屋近傍のピンポイント作業であっても日当3万円〜5万円程度が上限であり、日給33万円という数字は「過去の特殊な発注原価が都市伝説化したもの」と捉えるのが正確です。