スマッシュヒットを放った後も、決して甘い道ばかりではなかった。ヒット曲に恵まれない低迷期や、自身の歌声に対する葛藤など、息の長い下積みとも呼べる試練の時期が続いた。
そんな中で巡り会った運命の一曲が、1986年に発表された『命くれない』である。夫婦の深い絆と覚悟を歌い上げたこの楽曲は、発売当初からじわじわと口コミで評判が広がり、異例のロングセラーを記録。結果として売上枚数は400万枚を超え、昭和を代表する歴史的メガヒットとなった。
この大ヒットにより、同年の日本レコード大賞で数々の賞を受賞し、念願のNHK紅白歌合戦初出場を果たした。スポットライトを浴びた瞬間、彼女が流した涙は、長年耐え忍んだ下積み時代への報いであり、歌への誠実さを証明する瞬間でもあった。