これまで数々の名作で観客の洞察力を試してきたデヴィッド・フィンチャー。彼が今回タッグを組んだのは、独自のエッジの効いた作品を次々と世に送り出してきた映画スタジオA24だ。メジャースタジオが誇る圧倒的スケール感と、独立系プロダクションの尖った感性が融合したことで、これまでにない異質な映像体験が形作られている。
画面の隅々に配された色彩、暗闇の深度、微細な環境音に至るまで、狂気の美学が徹底されている。観客は単に物語を追いかける存在にとどまらず、スクリーンの向こう側に広がる逃げ場のない心理的迷宮へ直接引きずり込まれることになるだろう。