伝統を重んじるイタリア料理の視座から見れば、パスタを大量の湯で泳がせるように茹でるのが鉄則とされてきた。そのため当初、この調理法は異端視されることも少なくなかった。しかし、実はイタリア南部には「パスタ・リゾッタータ(Pasta Risottata)」と呼ばれる、リゾットのように少量のブロード(出汁)でパスタを煮詰めていく伝統技法が古くから存在する。
現地のトップシェフたちも、濃厚なソースと麺の一体感を極限まで高めるアプローチとしてこのリゾッタータを再評価しており、日本のワンパンカルチャーはその合理的な現代的解釈として受け止められつつある。手軽さの追求が、結果的に本場の高度な技法と論理的に合流した点は極めて興味深い。