フジサンケイグループの歴史を語る上で、日枝久氏が残した政治力と統治モデルを避けて通ることはできない。長年にわたりグループの頂点に君臨し、圧倒的なカリスマ性で組織を牽引した同氏の経営戦略は、民放界における独自の地位を築き上げた。だが、その遺産はいまや構造改革を阻む壁として語られることも少なくない。
強大な権力集中がもたらしたトップダウン型の意思決定は、変化の激しい現代市場における柔軟性を失わせた。社内からは「過去の成功体験から抜け出せず、若手や中堅の斬新なアイディアが潰されてきた」との切実な声も漏れる。世代交代が叫ばれて久しいが、カリスマ亡き後のガバナンス不全と経営判断の遅れは、今なおグループ全体に暗い影を落としている。