宇佐見蓮子を語る上で、相棒であるマエリベリー・ハーンの存在を切り離すことは不可能です。精神医学を専攻し、結界の裂け目を物理的に「視てしまう」メリーと、物理学を修め、客観的論理で世界を捉える蓮子。二人は真逆の視座を持ちながら、お互いを誰よりも深く信頼し合っています。
『蓮台野夜行』から始まり『茅蜩神奇』『伊弉諾物質』『燕石博物誌』に至るまで、二人の旅路は常に世界の綻びと共にありました。メリーが見た夢の世界(幻想郷)で手に入れた物が現実に持ち越されるなど、超常現象がメリーの心身を侵食していく過程で、蓮子は恐怖に駆られることなく、しかし強い危機感を抱きながら彼女の手を握り続けます。
「たとえ主観が狂おうとも、私が正確な座標であなたを現実へ連れ戻す」――言葉にせずとも行動で示す蓮子の立ち振る舞いは、単なるサークル仲間を超えた、運命共同体としての崇高な絆を感じさせます。