サブスクリプションを契約して編集権限を解放した場合でも、「iPad版ExcelはPC版と完全に同じように動くわけではない」という点には十分な注意が必要です。アプリの設計思想そのものがモバイル向けに最適化されているため、ヘビーな業務処理においては明確な制限が存在します。
現場で最も大きな摩擦を生むのが、iPad Excel マクロ VBA非対応という仕様です。企業の基幹システムから吐き出されたマクロ付きブック(.xlsm)をiPadで開くこと自体は可能ですが、VBAコードを実行したり、マクロボタンをタップして自動処理を走らせたりすることは一切できません。業務の自動化スクリプトや複雑な集計マクロに依存している職場環境の場合、iPad単体で業務を完結させるのは構造的に不可能です。
また、ピボットテーブル関数iPad対応状況に関しても差があります。iPadアプリ版でも既存のピボットテーブルの閲覧やスライサーによるデータ絞り込み、フィルターの切り替えはスムーズに行えますが、フィールドリストを自在にドラッグ&ドロップしてレイアウトを一から再構築したり、集計フィールドを新規追加したりする高度な編集作業には制限が残ります。
一方で、一般的な関数計算(XLOOKUP、VLOOKUP、INDEX/MATCH、IFSなど)はPC版と同等に軽快に動作します。画面タッチによるセル範囲選択の直感性と相まって、完成された定型フォーマットへの数値入力や進捗管理シートの更新といった用途であれば、ストレスを感じる場面はほとんどありません。