劇中で生まれた数々の名シーンは、ふたりの妥協なきリアリティの追求から誕生しました。車道越しに柊二が杏子を抱き上げる場面や、理髪用のクロスを広げて杏子の髪をカットするシーンなど、今なお語り継がれる名場面の裏には、現場での濃密なコミュニケーションが存在していました。
木村拓哉は撮影に入る前からプロのトップスタイリストについてハサミの開閉運動やブロー技術を徹底的に特訓。実際に人の髪をカットできるレベルまで腕前を上げ、劇中のカットシーンは代役なしのノーカットで撮影されました。常盤貴子もまた、日常的に車椅子を操縦する身体感覚を掴むため、私生活の移動でも車椅子を使用するなど、徹底した役作りに没頭しました。
当時のインタビューや雑誌対談において、常盤貴子は木村拓哉について「木村さんは現場の空気を一瞬で変える力がある。車椅子の扱いや段差のサポートも、台本を超えて自然に体が動いて支えてくれた」と明かしています。一方の木村拓哉も「常盤さんの杏子としての眼差しがあったからこそ、柊二としての感情を迷わず引き出してもらえた」と語るなど、過酷なスケジュールの中で固い信頼関係を築き上げていました。