日本の家庭で最も親しまれている「上白糖」は、製造過程で表面に「転化糖」と呼ばれる微細な密膜をまとわせている。この膜にしっとりとした水分が含まれることで、あの独特のソフトな質感と扱いやすさが保たれている。しかし、保存容器の密閉が不十分だったり、空調の効いた部屋に置かれたりすると、この水分が徐々に空気中へ逃げていってしまう。
水分が失われると、糖の粒子同士を隔てていた膜が失われ、砂糖の粒子が直接くっつき始める。これが食品科学の視点で説明される結晶化の再進行だ。粒子どうしがガッチリと連結した結果、あの大惨事とも言えるカチカチの塊が完成する。製糖大手である三井製糖の技術解説や、農林水産省が発信する身近な食品情報でも、砂糖の固化原因は「乾燥による水分の低下」として明確に注意喚起されている。