人がカルトに取り込まれるプロセスは、暴力的な脅迫によるものとは限らない。むしろ、優しさと共感を装った「ラブ・シャワー」と呼ばれる過剰な肯定から始まることが多い。将来への漠然とした不安、人間関係の軋轢、あるいは知的好奇心。誰もが抱く日常の隙間を突かれ、気づかぬうちに外の世界との接触を絶たれていく。
専門機関である日本脱カルト協会の研究によれば、カルト問題・マインドコントロールの本質は「本人の自由意志による選択だと思い込ませる欺瞞」にある。睡眠不足や情報遮断、極端な連帯感の強制によって批判的思考力を奪い、教団の価値観のみを絶対視させる。脱会後も深刻なPTSDや自責の念に苦しむ被害者が多い現実は、精神の侵食がいかに深い傷を残すかを証明している。