午後1時を回ると、それまで大歓声に包まれていた甲子園球場が一時静まり返る。2024年に試験導入され、今大会で完全に定着した「朝夕2部制」の光景だ。最も気温が上がる時間帯の試合を避け、午前中の第1・第2試合と、夕方以降の第3・第4試合に分けるスケジュールが組まれている。
選手たちの過ごし方も劇的に変わった。中休みとなる昼の時間帯、各校は近隣の空調設備が整った屋内施設や宿泊先に戻り、アイシングや軽食、睡眠を取りながら夕方の試合に備える。「日中の体力の消耗が抑えられ、試合終盤でも球威や走力が落ちなくなった」と、ある強豪校の監督は手応えを語る。
ナイター照明が灯る中での試合は、プロ野球さながらの雰囲気を醸し出す。涼しい夜風が吹き抜けるグラウンドで、球児たちは最後まで途切れない集中力を維持し、質の高いプレーを披露している。安全とパフォーマンスの両立を目指したこの試みは、高校野球の観戦スタイルそのものも塗り替えた。