感情的な糾弾にとどまらず、社会制度や医療の視点から児童虐待という構造的課題に光を当てる作品も支持を広げている。『リエゾン -こどものこころ診療所-』は、児童精神科の現場を舞台に、発達障害や虐待、ネグレクトに苦しむ子どもたちと親の姿を克明に描き出す。
加害者を単なる「悪人」として切り捨てるのは容易だ。しかし、この作品はその背後にある親自身の孤立、無理解、世代間連鎖という複雑怪奇な背景を浮き彫りにする。こども家庭庁が発足し、社会全体での子育て支援や早期発見のネットワーク構築が急務とされる今、本作が果たす啓発的な役割は計り知れない。問題の根底にあるものを見つめ直し、社会としてどう手を差し伸べるべきかという建設的な議論の土台を築いている。