Q1:親が亡くなった当日に、手持ちがないため葬儀費用としてATMから50万円引き出しました。犯罪になりますか?
A1:直ちに刑事事件として逮捕される可能性は極めて低いですが、民法上および相続実務上は重大なリスクを抱えます。引き出した50万円の使途が全額「正当な葬儀費用」であり、葬儀社の公式領収書を正確に保管して他の相続人へ速やかに開示・説明できれば、親族間の合意により実務上清算可能なケースは多いです。しかし、領収書がない場合や他の相続人が納得しない場合は「遺産の無断着服」として返還請求の対象になります。また、万が一故人に多額の借金があった場合、この出金行為が「単純承認」とみなされ、相続放棄が一切認められなくなる恐れがあります。今後は一切出金せず、残りは正規の仮払い制度を利用してください。
Q2:預貯金の仮払い制度を利用したいのですが、他の兄弟に秘密で手続きしても問題ありませんか?
A2:法律上、窓口での仮払い請求自体は他の相続人の同意や署名なしに単独で行えます。しかし、秘密裏に行うことは絶対にお勧めできません。銀行は仮払いに応じた後、他の共同相続人に対して「相続人の一人から仮払いによる払戻しが実行された」旨の通知を送達することが一般的です。後から兄弟に発覚すれば、「なぜ勝手にお金を下ろしたのか」と不要な不信感を抱かせ、遺産分割協議が破綻する原因になります。仮払いを利用する際は、事前に「葬儀費用・当面の精算金として〇〇万円を仮払い制度で正規に下ろし、領収書を後日共有する」と一筆伝えておくのが鉄則です。
Q3:凍結された口座の残高をすべて解約して遺産を分けるには、どれくらいの期間がかかりますか?
A3:戸籍謄本等の必要書類がすべて手元に揃い、相続人全員の署名・実印押印がなされた遺産分割協議書(または銀行指定の相続届)を店頭に提出してから、指定口座に全額が振り込まれるまでに概ね1週間から3週間程度を要します。提出書類に記載漏れや戸籍の不足があると再提出となり、1ヶ月以上かかるケースもあります。広域交付制度を利用して戸籍収集を急ぎ、書類に不備がないよう金融機関の相続専用デスクへ事前確認を行うことが期間短縮の鍵です。