作中で多くの視聴者が抱く最大の疑問の一つが、「人間をやめた魔法使い・フジモト」と「海の女神・グランマンマーレ」がなぜ夫婦になったのかという馴れ初めの経緯です。
公式アートブックや宮崎駿監督の構想メモによると、フジモトはかつてジュール・ヴェルヌの小説に登場する潜水艦「ノーチラス号」で唯一生き残った東洋人の少年航海士という裏設定が存在します。人間界に絶望し、海底を彷徨っていたフジモトを救い、愛を与えたのがグランマンマーレでした。
グランマンマーレはフジモトの神経質で不器用な性格をすべて受け入れ、慈愛の心で包み込んでいます。フジモトが「私の愛する人」と呼び、彼女の前でだけ弱音を吐露する姿からは、単なる男女の恋愛関係を超越した、魂の救済と共生の関係が読み取れます。彼女にとってフジモトもまた、広大な海に抱かれる愛おしい子どもたちの一人なのかもしれません。