RADWIMPSといえば、2000年代の『RADWIMPS 3〜無人島に持っていき忘れた一枚〜』や『RADWIMPS 4〜おかずのごはん〜』に見られるような、相手への盲目的な愛と命の等価交換を描いた「絶対的な恋愛観」が一つの象徴でした。「有心論」や「ふたりごと」で歌われた世界観は、世界の命運と個人の愛を結びつけるセカイ系的な純度の高さを誇っていました。
しかし、メジャー通算9枚目のオリジナルアルバム『ANTI ANTI GENERATION』(2018年12月12日発売)に収録された「そっけない」で提示されたのは、それらとは明確に一線を画すリアリズムです。詞・曲を手掛けた野田洋次郎は、初期の壮大なファンタジーや形而上学的な愛の証明から脱皮し、都市生活における男女の微細な体温や、視線の交差、嘘と本音が入り混じる駆け引きを生々しくスケッチしてみせました。
さらに本作は、2019年1月からABEMAで配信された大人気恋愛リアリティショー『白雪とオオカミくんには騙されない』の主題歌タイアップとしても起用され、若い世代を中心に爆発的なバイラル現象を巻き起こしました。「騙す側」と「本気で恋をする側」の猜疑心と惹かれ合いがリアルに交錯する番組の構造と、「そっけない」が持つ曖昧な緊迫感は見事な親和性を発揮し、バンドのファン層を劇的に拡張させた転換点となっています。