世界的な知名度が高まる一方で、観光客の集中による課題も浮き彫りとなっている。これに対し、由布院温泉観光協会や大分県観光局は、単なる消費型の観光から脱却し、滞在型のクオリティ・ツーリズムへの転換を強力に推進している。朝夕の静かな時間帯の魅力を発信し、日帰り客の分散化を図る取り組みはその代表例だ。
地域の温泉観光産業を支える地元事業者たちは、景観条例の徹底や環境保全活動に長年取り組んできた。金鱗湖の水質維持や外来種の監視、周辺遊歩道の整備など、目に見えない地道な努力が美しい景観を支えている。住む人が誇りを持てる町であってこそ、訪れる人にも感動を与えられるという哲学が、街路樹の一本一本にまで息づく。
持続可能な観光地づくりを目指すこのアプローチは、オーバーツーリズムに悩む国内外の観光地からも熱い視線を集めている。自然環境と調和したスローな旅の提案は、これからの地方都市が目指すべき指針を示している。