世界的なEVシフトの潮流は、エンジンの脈動やエキゾーストノートを愛するモータースポーツ界にも大きな転換を迫っている。静粛性と効率性が優先される中、「走る楽しさ」をいかに電動化時代へ継承するかという課題に対し、開発現場では連日議論が交わされてきた。
単にバッテリーとモーターを搭載するだけでは、ドライバーが求める官能的なドライビングプレジャーは生まれない。瞬時に立ち上がる大トルクを緻密に制御し、旋回中の荷重移動とダイレクトに連携させることで、従来のガソリン車以上の操縦感覚を構築する試みが進む。
モータースポーツの苛酷な現場で磨かれた限界領域のノウハウは、次世代の電動制御技術に直結している。環境負荷の低減と、胸のすくようなスポーツ性の両立。相反する要素を高次元で調和させるアプローチこそが、電動化時代のモビリティに求められている真の姿なのだろう。