ハムサは特定の宗教だけに縛られず、地中海を挟んだ複数の文化圏で固有の呼び名と神聖な物語を持っています。代表的な呼称が「ファティマの手」と「ミリアムの手」です。
イスラム教圏では、開祖ムハンマドの愛娘であり、純潔と献身の象徴とされるファティマ・ザフラに由来して「ファティマの手(Hand of Fatima)」と呼ばれています。過酷な試練にも耐え抜いた彼女の気高さから、女性の守護、忍耐力、家族の平和をもたらす護符として信じられてきました。
一方、ユダヤ教圏では、預言者モーセとアロンの姉であるミリアムに敬意を表して「ミリアムの手(Hand of Miriam)」と称されます。ミリアムは荒野を旅するイスラエルの民に清らかな水をもたらした奇跡の女性とされ、希望と救済の象徴です。さらに「5」という数字は、ユダヤの聖典である『モーセ五書(トーラー)』の冊数とも重ね合わされています。
キリスト教圏の一部でも「マリアの手」と呼ばれるケースがあり、ハムサは宗教の垣根を越えて人々の平和と安全を守り続けてきた普遍的なお守りです。