原作漫画が熱狂的なファンを持つ名作であるため、映画公開当初は一部で「原作との相違点」に対する賛否両論が巻き起こりました。しかし、公開から時間が経過した現在、それらの改編は「2部作という映画フォーマットにおける見事な再構築」として再評価されています。
映画版における主な原作との違いとしては、以下のような点が挙げられます。
- 新一の家庭環境の変更:原作では両親(父・母)揃っていた家庭が、映画版では父が既に他界しており、母・信子(余貴美子)との母子家庭に設定。母子の絆をより色濃く描くことで、母を失う悲劇性と田宮良子の母性への対比を強化した。
- 登場人物の集約とテンポ感の向上:原作の加奈や宇田といった主要キャラクターの役割を整理・凝縮し、新一・里美・田宮良子・後藤の四つ巴のドラマへ焦点を絞った。
- 社会風刺の現代化:ゴミ焼却施設での最終決戦や環境問題への言及など、現代社会のリアリティに即したロケーションとメッセージ性のアップデート。
ネット上では「原作と違うから別物」という初期の誤解もありましたが、山崎貴監督と脚本の古沢良太が意図したのは「原作のテーマ(命の尊厳、他者との共生、人間という種の矛盾)の純粋な抽出」でした。そして、その改編の核となったのが染谷将太のブレない主人公像でした。原作の魂を完全に理解した染谷将太の佇まいがあったからこそ、設定変更に反発していた古参の原作ファンも「これは紛れもない『寄生獣』だ」と唸らされることになったのです。