食品の安全性を重んじる層の間で長年議論の的となっているのが、原材料欄の上位に記載されている「ショートニング」の存在です。「ショートニング=トランス脂肪酸=動脈硬化や心疾患の元凶」という図式がSNS上で拡散され、添加物リスクを警告する投稿が定期的にバズを生み出しています。
しかし、近年の製造現場における事実関係を正しく把握しなければなりません。農林水産省や食品安全委員会の主導、さらには世界保健機関(WHO)の勧告を受け、日本の大手食品メーカーは2010年代半ばから劇的な油脂改良を重ねてきました。アサヒグループ食品も例外ではなく、使用する油脂の製法を見直し、部分水素添加油脂を使わない低トランス脂肪酸対応のショートニングへの切り替えを完了させています。
世界保健機関(WHO)が提示する目標基準は「総エネルギー摂取量の1%未満(1日2,000kcalの場合、約2.2g未満)」です。現在流通している国内大手メーカーのビスケット製品に含まれるトランス脂肪酸量は、1食あたり0.05g〜0.1g前後の極微量にまで低減されており、日常的な食生活において直ちに血管障害や深刻な健康被害を引き起こす水準ではありません。乳化剤や香料などの食品添加物についても、食品衛生法に基づく厳格な一日摂取許容量(ADI)の範囲内で設計されています。「添加物が毒だから体に悪い」という論調は、現代の精緻な品質管理の実態を無視した過度な煽りと言わざるを得ません。