リコーダー選びや運指表の照合で絶対に間違えてはならないのが、「バロック式(イギリス式)」と「ジャーマン式(ドイツ式)」の区別です。小学校のソプラノリコーダーでは、ファの運指が簡単な「ジャーマン式」が使われることも多いですが、中学校以上のアルトリコーダーでは、ほぼ100%バロック式が指定されます。
なぜ中学校ではわざわざ指使いが複雑に見えるバロック式が採用されるのでしょうか。その理由は、半音階(派生音)の音程精度にあります。20世紀初頭にドイツで開発されたジャーマン式は、ハ長調のドレミファソラシドを順に指を離すだけで吹けるよう設計されましたが、その代償として♯や♭がついた音のピッチが著しく狂うという致命的な欠陥を抱えています。一方、歴史あるバロック式は、複雑なクロスフィンガリング(フォーク運指)を用いることで、全音域にわたって純正で濁りのないハーモニーを作ることが可能です。
国内の2大リコーダーブランドであるヤマハ(YAMAHA)とアウロス(AULOS)の製品においても、中学校指定モデルはすべてバロック式に準拠しています。自身の楽器の見分け方は簡単です。表側のトーンホールの上から4番目(右手人差し指)と5番目(右手中指)の孔の大きさを比べてみてください。4番目の孔が小さく、5番目の孔が大きいものがバロック式です(ジャーマン式は逆になります)。また、楽器裏面に「B」または「E」の刻印があればバロック式、「G」であればジャーマン式です。
自宅で練習する際、手元に紙のシートがない場合は、メーカー公式サイトが配布しているアルトリコーダー運指表のPDFをスマートフォンやタブレットに保存して印刷しておくのが最も確実です。ヤマハ(YAMAHA)やアウロス(トヤマ楽器製造)の公式サポートページからは、高解像度かつ運指番号入りのPDFデータが無償で提供されており、デスクや譜面台に常備するツールとして最適です。