動画を倍速で観て、食事中もニュースフィードをスクロールする。そんな「タイムパフォーマンス(タイパ)」の追求が極限に達した2026年、揺り戻しが起きるのは必然だったのかもしれない。時間を効率的に消費することに疲れた人々が、あえて「無駄な時間」を愛おしむ動きが加速している。
スマートフォンの画面を見つめる代わりに、目の前で湯気を立てる味噌汁の香りを嗅ぎ、焼き魚の皮がパリッと弾ける音に耳を澄ます。この極めて当たり前の行為が、今や特別な体験として消費されている現実は、私たちが失ったものの大きさを物語っている。