画面から溢れ出るようなエネルギーの裏には、映画撮影の常識を覆すほどの緻密な現場オペレーションと、キャスト・スタッフの凄まじい熱量がありました。当時の制作陣が米メディアの特別インタビューなどで明かした証言によると、このセントラルパークでのロケは実質数日間にわたる大掛かりな野外ロケとして決行されました。
振付を担当したジョン・オコネルと監督のケヴィン・リマは、本物のストリートの活気をフィルムに焼き付けるため、スタジオのセットではなく完全なオール野外ロケにこだわりました。動員されたプロのダンサーは約150名。さらに背景を行き交う市民や群衆として、300名を超えるエキストラが配置されました。
特に現場を驚かせたのは、高齢者のダンスグループや本物のブロードウェイ俳優たちの起用です。作中で鮮やかなステップを披露するシニアダンサーたちは、現場に集まった一般の観光客からも割れんばかりの拍手を浴びました。エイミー・アダムスは当時の手記やプロモーション取材で、「最初は『何をやっているんだ?』と遠巻きに見ていたニューヨーカーや通行人たちが、テイクを重ねるごとに足を止め、最後にはパーク全体が本物のコンサート会場のような歓声に包まれた」と、現場の空気が一つになった奇跡的な瞬間を振り返っています。
また、ニューヨークという過密都市での撮影ならではの苦労も絶えませんでした。セントラルパークは撮影中も完全に封鎖することはできず、警察の協力のもとでエリアごとに通行規制を敷きながらの強行軍。天候の急変や日光の角度の変化に合わせ、カメラマンは巨大なレフ板とクレーンを駆使して、まるでおとぎの国の陽光が降り注いでいるかのようなライティングを維持し続けたのです。