「銀行口座を経由していないのに、税務署はどうやって個人を特定するのか?」という疑問を抱く人は多いはずです。しかし、国税局や税務署の調査能力は個人の想像をはるかに超えています。手渡しの報酬が発覚する最大のルートは「反面調査(はんめんちょうさ)」です。
お金を支払った側の事業者(企業や店舗)は、支払った現金を「人件費」「外注費」として経費計上し、法人税や所得税を減らそうとします。税務署がその事業者に税務調査に入った際、調査官は帳簿、出勤簿、領収書の控え、業務日報を徹底的にチェックします。そこで「誰に、いつ、いくら支払ったのか」の裏付けを取るために、受取人側の調査を行うのが反面調査です。
さらに、近年は国税総合管理システム(KSK)によるデータ照合やマイナンバーの紐付け、法定調書(支払調書)の電子照合が極めて高度化しています。「事業主側が経費として計上している以上、受け取った個人の名前と金額はすでに税務署のリストに記録されている」と認識するのが現場の実態です。