家庭で生のいちごを使ってババロアを作ろうとすると、ピューレ作りの裏ごしや水分量の調整など、想像以上に工程が多く技術を要します。水分が多い生果実を使うと風味がぼやけやすく、砂糖の添加量にも繊細なバランスが求められます。
一方、市販のイチゴジャムはすでに加熱濃縮されており、糖度(Brix値)が一般的に40〜65度程度に安定しています。ジャムの製造過程で引き出されたイチゴ特有の香り成分とペクチン(植物性ゲル化剤)が、ババロアのベースとなる牛乳や生クリームの乳脂肪分と結びつき、驚くほどなめらかで密度のある食感を作り出します。
製菓現場の理論においても、果汁の水分を飛ばして糖度を高めたペースト状の素材は、ムースやババロアの風味を際立たせるための必須アイテムです。市販のイチゴジャムをベースに使う手法は、単なる時短テクニックにとどまらず、果実の風味を最大限に引き出す理にかなったアプローチといえます。