歴史的事実の一方で、SNSやネット掲示板(知恵袋、note、ビジネス系コミュニティなど)を調査すると、「鳴かぬなら鳴くまで待とう時鳥」に対する現代人の評価は大きく二分しています。
否定的な意見としては、「スピード感が命のIT・スタートアップ時代に『待つ』姿勢は完全に時代遅れ」「鳴くまで待っていたら競合に先を越されて会社が潰れる」「受け身の姿勢を正当化する言い訳に使われている」といった厳しい指摘が目立ちます。タイムパフォーマンス(タイパ)が叫ばれ、アジャイルな意思決定が求められる局面において、この言葉を文字通り受け取ることは危険だという感覚です。
その一方で、経営者層やベテランビジネスパーソンからは、本質を突いた再評価の声が根強く存在します。その代表例が、パナソニック創業者である松下幸之助氏の解釈です。
松下氏は生前、このホトトギスの句について問われた際、自身の手記や講演の中で「鳴かぬなら鳴くまで待とう」の精神を極めて重視していたことを明かしています。ただし、松下氏の言う「待つ」とは、単に腕組みをしてボッ立ちしていることではありません。
「鳥が鳴かないのは、まだ鳴く季節や時間になっていないからかもしれない。あるいは、鳥が安心して鳴けるような環境が整っていないからかもしれない。鳴くまで待つというのは、鳴くべき時が来るまで自らの力を養い、鳥が自然に鳴きたくなるような条件を整えながら、じっとその瞬間を迎える準備をすることだ」
単なる受動的な放置ではなく、「鳴く条件を整えながら時節を待つ」という能動的な待機姿勢。これこそが、ネット上の短絡的な批判を覆す、本質的なリーダーシップの知恵といえます。