インターネットの検索窓に作品名を入力すると、サジェストに「打ち切り」「2期 理由」といった不穏なワードが並びます。しかし、業界内の客観的な指標を精査する限り、アニメが興行的に大失敗して打ち切られたという言説は明確な事実誤認です。
当時のビデオパッケージ(BD/DVD)の累計平均売上は約7,000枚を記録しており、深夜アニメとして十分に黒字ラインを突破していました。千斗いすずをはじめとするキャラクターグッズのセールスや配信権の売上を含め、製作委員会にとってビジネス的な成功を収めたプロジェクトであったことは業界関係者の間でも共通認識となっています。それでも続編が世に出ていない背景には、主に3つの不可逆な要因が存在します。
第1の要因は、テレビアニメ第1期におけるストーリーの芸術的な完結です。アニメ版は原作初期の基本設定を踏襲しつつも、大胆な翻案を施していました。原作では「2週間で10万人」という目標から始まり、段階的に難題をクリアしていく構成でしたが、アニメ版は「3か月で25万人動員を達成しなければ閉園」という極めてタイトかつドラマチックな背水の陣を設定しました。
最終盤、可児江西也の機転とキャスト陣の奔走によって奇跡的に25万人目を迎え入れ、パークの存続とラティファの記憶リセット回避を両立させた第12話、そして後日談としてのアトラクション再建を描いた第13話をもって、アニメシリーズとしての劇的なカタルシスは完全に昇華されています。制作陣は当初から単発の1クール作品として極めて密度の高い完結性を目指しており、「無理に引き延ばして2期を作る動機」そのものを残さない完璧な着地を選択していたのです。
第2の要因は、メディアミックスの主たる目的である「原作プロモーション効果」と供給ストックの不一致です。アニメが放送された2014年時点で原作は第5巻まで刊行されており、アニメの成功を受けて原作ライトノベルの売上も大きく跳ね上がりました。しかし、後述するようにその直後から原作刊行ペースが鈍化し、続編アニメを制作して宣伝効果を波及させるための土台そのものが消失してしまいました。
第3の要因は、制作会社である京都アニメーションのスタジオ戦略の抜本的なシフトです。2010年代中盤以降、同社は外部レーベルの原作を請け負うスタイルから、自社レーベル「KAエスマ文庫」の発掘・育成や、完全自社IPの創出へと舵を切っていきました。外部角川系のレーベルとの大型協業作品である本作を、年月の空白を跨いでまで再度受託制作する優先度が必然的に下がっていったという産業構造上のリアリズムがあります。