葬儀の打ち合わせで最も多くの遺族が混乱するのが、「エンバーミング」「湯灌(ゆかん)」「死化粧(ラストメイク)」の役割の違いです。名称は似ていても、施される目的や作業範囲は明確に分かれています。
湯灌は、古くからの宗教的儀礼に基づき、逆さ湯などで故人の身体を洗い清めて現世の苦しみや穢れを落とす儀式です。また、ラストメイクは旅立ちにふさわしい表情を整えるためにファンデーションや口紅などを施す表面的な化粧技術を指します。これらはいずれも身体の内側に手を加えることはなく、長期的な防腐効果はありません。
一方のエンバーミングは、科学的・衛生学的なアプローチによって体内の血液や体液を排出し、保全液へと置き換える外科的処置です。その明確な違いと、遺体保存期間とドライアイス比較を一覧表にまとめました。
死化粧とラストメイクの違いについて疑問を持つ方もいますが、実務上はほぼ同義として扱われます。ただし、通常のラストメイクはあくまで皮膚の表面に化粧を施すだけであるため、皮膚の下で起こる体液の漏出や内出血の変色を完全に隠し続けることは困難です。エンバーミングでは血管内から専用の染色色素を含む保全液を届けるため、肌の内側から自然な血色が蘇るという大きな差が生まれます。