代かきを成功させるための決定打となる変数が「作業時の水深」と「代かき後の静置時間(沈殿時間)」です。水が多すぎても少なすぎても、あるいは代かきから田植えまでの日数が短すぎても長すぎても、苗の初期成育に重大な障害をもたらします。
まず水深については、水深と泥の沈殿時間の適正値を正しく把握することが不可欠です。代かき作業時の理想水深は「浅水(せんすい)」であり、具体的には田面全体の3〜4割程度、土の頭が水面から顔を出している状態(水深2〜3cm程度)が黄金比です。水が深すぎる状態でロータリーを回すと、泥が水中に舞い上がって濁水となり、沈降に膨大な時間がかかるうえ、後述するワラ浮きの直接要因となります。
次に、田植え何日前に行うか時期の目安ですが、これは土壌の質(土性)によって大きく異なります。砂質土は粒径が大きいため数時間から1日で沈殿して締まりますが、微細な粘土を多く含む沖積土や重粘土では、泥が落ち着いて田植え機の走行を支える硬度になるまで3〜4日を要します。
沈殿が不十分なまま田植えを強行すると、田植え機のフロートが泥を押し波のように押し出して植え付け済みの苗を倒してしまったり、泥が軟らかすぎて苗が深く埋没(深植え)して窒息死したりします。逆に見極めが遅れて日数を置きすぎると、土が固く締まりすぎて苗の根が刺さらない「浮き苗」が多発します。