結論から言えば、自閉スペクトラム症(ASD)と多動性障害(ADHD)は併発します。実際に臨床現場では、ASDと診断された人のうちおよそ3割から5割がADHDの特性を併せ持っていると報告されています。
かつて国際的に広く使われていた診断基準『DSM-IV』の時代には、自閉症とADHDを同時に診断することは公式には認められていませんでした。自閉症状がある場合は、多動があっても自閉症の一症状として包括されていたためです。
しかし、2013年に米国精神医学会が改訂した『DSM-5』によって併発診断が正式に認められ、日本国内の小児科や心療内科でも「ASDとADHDの重複」としての診断・サポートが標準化されました。これにより、「対人関係の難しさやこだわり(ASD特性)」と「不注意や衝動性・多動性(ADHD特性)」が複雑に混ざり合う当事者の実態に即した支援が可能になっています。