メディア論と認知心理学から見る「愛される失敗」の構造
社会心理学には、完璧な人間よりも少しドジな一面を見せる人間のほうが好感度が高まるという「しくじり効果(Pratfall Effect)」が存在します。くまモンはこの心理的メカニズムをご当地キャラクターの領域で完璧に体現しました。自治体の公認マスコットというお堅い枠組みを壊し、人間味あふれる失敗を晒すことで、視聴者との間に強固な親近感とエンゲージメントを築き上げたのです。
企業・自治体が学ぶべき広報リスクマネジメントの教訓
ただし、ハプニングを狙って意図的に起こす「演出」は視聴者に見透かされ、かえって炎上を招きます。くまモンが愛されたのは、熊本県を盛り上げようと真剣に全力を尽くした結果としてのハプニングだったからです。現場の熱量、トラブル発生時の誠実かつユーモラスな対応、そして再発防止に向けた裏側の安全投資。この3点が揃って初めて、ピンチをブランド価値向上へと転換できるという点は、すべての広報担当者が胸に刻むべき教訓です。