青龍殿が建立された最大の目的は、青蓮院門跡が代々護り伝えてきた秘宝、国宝「青不動明王二童子像(通称・青不動)」を安置・顕彰するための大護摩堂を築くことにありました。高野山明王院の「赤不動」、三井寺の「黄不動」と並び、日本三不動の筆頭として名高い至宝です。
平安時代中期に描かれた絹本着色の絵画である青不動は、極めて繊細な文化財であるため、保存上の観点から原本が常時公開されているわけではありません。普段の内陣では、極めて精巧に復元された複製画やお前立ちが厳かに祀られており、参拝者は静寂の中でその神秘的な威光に触れることができます。
数年に一度、あるいは特別な節目にのみ執り行われる国宝青不動の御開帳は、全国から数多くの信仰者や美術ファンが集まる一大行事です。平安の祈りが今なお息づく堂内には護摩壇が据えられ、厳粛な空気とともに、不動明王が持つ厄除け・現世利益の力強い霊気を肌で感じることができます。