ミルクボーイの真の恐ろしさは、ファーストラウンドの「コーンフレーク」だけで終わりませんでした。最終決戦で披露された2本目のネタ「最中(もなか)」において、彼らは1本目と完全に同じ構成パターンを用いながら、審査員7名中6票を獲得して完全優勝を果たしました。
賞レースにおいて「全く同じ型のネタを2本続けること」は、観客が構造に慣れてしまうため極めてリスクが高いとされてきました。しかし、ミルクボーイはそのリスクを逆手に取りました。
- コーンフレーク(1本目):洋風・朝食・軽やかさ・パッケージの虎という「動的・現代的」な対象を料理。
- 最中(2本目):和菓子・甘味・皮の水分泥棒・おじいちゃんが食べてるという「静的・伝統的」な対象を料理。
「最中の皮は口の中の水分を全部持っていく」「最中はマカロンの先祖やない」「最中は自分自身で自分のポジションをわかってない」といった切れ味鋭いフレーズを連発。観客が「次は何を言うのか」と身構える期待を、ワードセンスの強度だけで軽々と越えてみせたのです。1本目でシステムを理解させ、2本目でそのシステムの強度を証明するという、M-1史に残る完璧な二段構えでした。