東京のカルチャーを牽引する渋谷・代官山・清澄白河などの人気カフェを巡ると、卓越したレストルーム空間には共通する法則が存在します。まず際立つのが「手洗いボウル」の選定です。画一的な陶器製ユニットではなく、信楽焼などの手仕事を感じさせる焼き物ボウルや、マットな質感のモルタル製ベッセル型ボウルを天板の上に配置するスタイルが主流となっています。水栓にはマットブラックやアンティークブラスが採用され、手洗いの瞬間さえもプライベートな儀式のように演出されています。
さらに見逃せないのが、照明設計の巧みさです。天井中央に直付けされたダウンライトではなく、鏡の背面から漏れるライン状の間接照明や、低めの位置に吊るされた真鍮製ペンダントライトが陰影を生み出します。この柔らかな光のグラデーションは、ホテルのスイートルームを思わせる落ち着きをもたらすだけでなく、鏡を覗き込んだときの肌の陰影を美しく見せる視覚的計算に基づいています。