本作が不朽の名作となった最大の原動力は、主要キャスト陣の圧倒的な演技力と心理描写にあります。若年性アルツハイマー病という過酷な運命に直面しながらも、凛とした強さと脆さを繊細に表現し切った戸田恵梨香の鬼気迫る名演は、ギャラクシー賞をはじめ数多くの賞賛を浴びました。
対するムロツヨシは、従来のコメディリリーフとしてのパブリックイメージを鮮やかに覆し、不器用ながらも深い包容力を持つ小説家・真司を熱演。コミカルな日常会話から胸を締め付けるシリアスな告白シーンまで、戸田恵梨香との間に生み出された自然体の空気感は「本物のカップルにしか見えない」と絶賛されました。
さらに物語の厚みを支えたのが、尚の元婚約者であるエリート医師・井原侑市を演じた松岡昌宏の存在です。婚約破棄という辛い立場に置かれながらも、医師として尚の主治医を務め、真司と尚の愛を誰よりも尊重し見守り続けるジェントルマンな立ち振る舞いは、多くの視聴者から絶大な信頼を獲得しました。草刈民代演じる尚の母・薫と侑市との間に芽生える大人の信頼関係など、緻密に練られたキャスト相関図がドラマの質感を極限まで高めています。