丸山桂里奈さんのサッカーキャリアは、日本女子サッカー界の黎明期から黄金期を象徴する軌跡そのものです。日本体育大学時代からその卓越したスピードと裏へ抜け出す突破力で頭角を現し、2003年に日本代表(なでしこジャパン)へ初選出。東京電力女子サッカー部マリーゼや米Wリーグ、ジェフユナイテッド市原・千葉レディース、スぺランツァFC大阪高槻でプレーしました。
日本サッカー史において彼女の名を不滅のものにしたのが、2011年FIFA女子ワールドカップ・ドイツ大会の準々決勝(対ドイツ戦)です。開催国であり大会3連覇を狙う絶対王者ドイツを相手に、延長後半3分、澤穂希選手からの浮き球スルーパスに抜け出し、角度のない位置から放った右足の決勝ボレーシュートは、世界中を驚愕させました。この歴史的一撃がなければ、その後のアジア勢初となる世界一の栄冠は存在しなかったといっても過言ではありません。
しかし、栄光の影には度重なる大怪我との闘いがありました。前十字靭帯断裂や軟骨損傷など度重なる膝の負傷を抱え、2016年シーズンをもって33歳で現役引退を決断。当時の手記や特番インタビューでは、「自分の持ち味である一瞬の爆発的なスピードが戻らなくなった。サッカーに対して1ミリも嘘をつきたくない」と、アスリートとしての矜持を持ってピッチを去った胸中が明かされています。