1991年の初冬、出版業界の常識は根底から覆されました。当時、宮沢りえの写真集発売日となった1991年11月13日、全国の書店には開店前から老若男女が詰めかけ、配本された書籍が瞬く間に店頭から消え去る異例の事態が発生したのです。初版30万部は即日完売となり、増刷に次ぐ増刷を重ね、実売数は150万部以上という前人未到の記録を打ち立てました。
当時における宮沢りえの年齢はわずか18歳でした。三井のリハウス初代リハウスガールとして国民的清純派美少女のアイコンとなり、数多くのCMやドラマで茶の間の圧倒的支持を得ていた絶頂期です。その最中に投下されたヘアヌード写真集の衝撃は、ワイドショーや新聞の社会面を連日ジャックし、一般層から知識人までを巻き込む大論争へと発展しました。
朝日新聞や読売新聞をはじめとする当時の報道各社の取材記録を振り返ると、書店での購入者の約3割から4割が女性層であった点が特筆されます。男性向けのグラビア本ではなく、女性も堂々とレジに持ち込める「ファインアート」「美の象徴」として受け入れられたことが、驚異的なセールスを支えた最大の要因でした。