「自覚症状がないから大丈夫」「副作用が気になるから一旦飲むのをやめよう」と、通院や服薬を自己判断でやめてしまう患者は後を絶ちません。しかし、降圧剤をやめるとどうなるのかという問いに対する臨床医学の答えは明確です。
薬によって人工的に保たれていた血管の拡張状態が途切れると、反動として血圧が服用前よりも急激に跳ね上がる「リバウンド現象(反跳性高血圧)」を引き起こすリスクがあります。これが降圧剤をやめる決定的な危険性です。急激な圧力変化に耐えきれなくなった脳血管が破綻すれば脳出血を、動脈硬化が進んだ血管が閉塞すれば脳梗塞や心筋梗塞を誘発します。
厚生労働省の患者調査や各種循環器学会の報告によれば、脳心血管イベントを発症して緊急搬送された患者のうち、過去に高血圧を指摘されながら服薬を自己中断していた層が一定割合を占めています。「症状がない=治った」のではなく、「薬によって正常値が保たれている状態」であることを冷静に認識しなければなりません。