放送規制の洗礼を受けたインディーズ時代から約1年8カ月後、彼女がメジャーデビュー曲として選んだのは、命の終わりと始まりを静謐かつドラマチックに描いた『生きていたんだよな』でした。この楽曲は、テレビ東京系ドラマ『吉祥寺だけが住みたい街ですか?』のオープニングテーマに抜擢され、全国的な知名度を獲得します。
本楽曲が生まれた背景について、あいみょん本人は当時の音楽メディアのインタビューで「ニュース速報で流れた女子高生の飛び降り自殺の一報を目にした瞬間、衝動的にアコースティックギターを手に取って書き上げた」と振り返っています。凄惨な現場で野次馬がスマートフォンを掲げて撮影する異様な光景と、直前まで確かに呼吸をしていた一人の人間の体温。その残酷な対比を生々しいポエトリーリーディング(語り)からエモーショナルなサビへと昇華させた構成は、聴く者に強い衝撃を与えました。
単なる悲劇の消費ではなく、「最期まで彼女は懸命に生きていたのだ」という絶対的な生への肯定感を歌い上げたことで、同世代の若者のみならず批評家筋からも絶賛を浴びることになります。