筋肉を鍛え上げる行為がカルチャーへと昇華した原点はどこにあるのか。時計の針を半世紀ほど巻き戻せば、1977年の伝説的ドキュメンタリー映画『パンピング・アイアン』にたどり着く。若き日のアーノルド・シュワルツェネッガーが放っていたあの圧倒的な熱量とカリスマ性は、今なお色褪せない。
カリフォルニアのベニスビーチに位置するゴールドジムは、鉄の擦れ合う音と汗の匂いが立ち込める聖地として、世界中のバーベル愛好家を引き寄せてきた。シュワルツェネッガーが劇中で語った「筋肉がパンプする瞬間の恍惚」は、単なる筋肥大の作業を超え、肉体を自らの手で彫刻していく芸術行為そのものだった。その精神的系譜は、現代のジム通いの若者たちの胸の奥にも確かに受け継がれている。