ネット上には「プロパンガスは悪、都市ガスこそ正義」といった短絡的な言説が溢れていますが、実情はより複雑です。持ち家(戸建て)の場合と賃貸住宅の場合とで、取れる対策と経済合理性は全く異なります。
まず、戸建てでプロパンガスから都市ガスへ切り替えを検討する場合、前面道路に都市ガス本管が通っていることが大前提となります。本管から敷地内へ引き込み、宅内配管を引き直し、給湯器を買い換えるための都市ガス切り替え工事費用は総額30万〜60万円程度が相場です。毎月のガス代が3,000円安くなったとしても、工事費用の元を取るには10年〜15年以上かかる計算になり、築年数や将来の居住計画次第では投資倒れになるリスクを見過ごせません。
戸建てのプロパンガス利用者が取るべき最も賢明なアプローチは、都市ガスへの無理な切り替えではなく、「プロパンガス適正価格での値下げ交渉・事業者変更」です。戸建ての持ち家であれば、ガス事業者を変更する法的所有権は完全に施主にあります。一般社団法人プロパンガス料金消費者協会などが公表している「適正価格(従量単価300円台〜400円前後)」を基準とし、不当に高い単価(単価550円〜700円以上)を請求する既存業者に対して価格見直しを要求するか、優良な競合他社へ乗り換えることで、工事費ゼロで翌月から毎月のガス代を30%〜40%削減することが可能です。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
エネルギー選択における損得勘定は、居住形態やライフスタイルによって180度変化します。以下の基準を自身の状況に照らし合わせてみてください。
▼ 都市ガスを絶対に選ぶべき人:
- 家賃の安さよりも毎月の生活固定費を極限まで低く安定させたい単身者・学生
- 毎日浴槽にお湯を張り、家族全員が長時間の入浴やシャワーを頻繁に利用するファミリー世帯
- 自炊の頻度が高く、光熱費の変動ストレスを最小限に抑えたい賃貸居住者
▼ プロパンガス物件を前向きに選んでも良い人:
- シャワーの利用頻度が低く、外食やジムでの入浴がメインで自宅のガス消費量が極めて少ない人
- 都市ガス物件に比べて家賃が5,000円以上安く設定されており、ガス代の上昇分を家賃差額で完全に相殺できる賃貸物件を見つけた人
- 地震や台風などの自然災害リスクを重視し、ライフライン途絶時の自立復旧力を最優先したい地方・郊外の戸建て居住者
- 適正価格の優良ガス業者を自由に選択・交渉できる持ち家のオーナー