結婚から長い年月が経ち、沢田研二と田中裕子の間に子供はいません。プライベートを切り売りしない二人であるため、公のインタビューで子供について直接語ったことはありませんが、関係者の証言や当時の状況から、いくつかの明確な背景が存在します。
第一に、前妻・伊藤エミとの間に生まれた長男への配慮が挙げられます。沢田研二は離婚に際し、一人息子の父親としての責任を痛感しており、新たな家庭で子供をもうけることに対して極めて慎重な自制心を働かせていたと伝えられています。
第二に、結婚当時の田中裕子の年齢(34歳)と女優としてのキャリアの充実期が重なっていた点です。1983年に『おしん』で世界的な成功を収めた後、映画『天城越え』など国内外で高い評価を受ける演技派として多忙を極めていた田中裕子にとって、仕事をセーブして出産に踏み切るタイミングを見出すことは容易ではありませんでした。
第三に、二人が求めたものが「子育てを中心とする一般的なファミリー」ではなく、「生涯にわたる表現者同士の同志愛」であったことです。家庭の形を子供という紐帯に依存せず、互いの存在そのものを尊重し合う自立した大人のパートナーシップを選択した結果であると言えます。