大規模災害において、自力で逃げることができない乳幼児は最も脆弱な存在です。警察庁や厚生労働省などの震災子ども犠牲統計を検証すると、自然災害の猛威がいかに容赦なく小さな命を奪ったかが浮き彫りになります。
1995年の阪神・淡路大震災では、激しい縦揺れによる家屋の倒壊や家具の転倒が未明の就寝中を襲いました。同震災の記録によると、圧死・窒息死した犠牲者の中には生後数ヶ月から数歳の乳幼児が多数含まれており、寝室の安全確保が生存を分けた決定的な要因でした。
一方、2011年の東日本大震災における赤ちゃんの被害状況は、圧倒的に巨大津波による溺死が多数を占めました。岩手県・宮城県・福島県の沿岸部では、保育所や自宅から高台へ避難する途中で波に呑まれたケースや、抱っこ紐で避難していた保護者ごと流された痛ましい事例が報告されています。さらに、2024年の能登半島地震でも、厳冬期の孤立集落において防寒設備や医薬品が届かず、救援の手が届く前に体調を急変させた乳幼児犠牲者の報告が相次ぎ、初動における救命体制の脆弱性が改めて露呈しました。