かつて、ライブ会場で歓声を浴びるタレントが、文学界最高峰の誉れである直木賞の候補に登り詰める未来を誰が予測できただろうか。加藤シゲアキはその下馬評や先入観を、圧倒的な原稿量と圧倒的なプロット構成力によって自ら打ち破ってみせた。
その執筆の裏側は、まさに時間との苛烈な戦いだ。全国ツアーの移動中や楽屋のわずかな合間にもノートPCを開き、何十回もの推敲を重ねる。「書くことは自らの存在理由を証明する行為」と語る通り、妥協をいっさい排した泥臭いまでの執念が、読者の心を揺さぶる傑作を生み出す原動力となっている。