長年、日本の折りたたみ家具市場は価格競争の波に洗われてきた。1脚数千円で買える大量生産品がイベント会場や選挙事務所を埋め尽くし、「座れれば何でもいい」という妥協の象徴となった。しかし、その潮目が変わったのはここ数年のことだ。
老舗オフィス家具メーカーから気鋭のプロダクトデザイナーまでが、一斉にこの古典的な構造の再構築に乗り出した。従来の重く錆びやすい鉄パイプは、航空機グレードの軽量アルミニウム合金や高強度のリサイクルマグネシウムへと進化。ジョイント部分のメカニズムを露出させず、シームレスで美しいシルエットを描く製品が続々と登場している。座面にも人間工学に基づいた立体成形メッシュや高密度フォームが採用され、長時間のデスクワークにも耐えうる快適性を獲得した。