日本中を恐怖に陥れたパラコート連続毒殺事件の真相はどこにあるのか。捜査関係者や犯罪心理の専門家の間では、大きく分けて「単一の快楽殺人者説」と「初期事件に触発された模倣犯説」の2つが議論されてきました。
事件が広島、近畿、関東と広範囲に及んでいたこと、毒物の混入方法や使用された薬剤(パラコート原液、ジクワット混合製剤など)に地域ごとの差異が見られたことから、最初の数件を除いて大半はメディア報道を見た模倣犯による犯行であった可能性が極めて高いと分析されています。
浮かび上がった犯人像の考察としては、以下の要素が指摘されていました。
・農薬の購入や保管が自然に行える環境に身を置いていた人物
・車などの移動手段を持ち、土地鑑のある自販機を選定できた機動力
・社会への漠然とした怨嗟や承認欲求を抱えた劇場型犯罪志向
しかし、防犯カメラが街頭にほとんど設置されていなかった昭和末期のインフラ事情、さらに雨や屋外環境によって指紋やDNAといった物的証拠が消失したことが致命傷となり、特定の容疑者を絞り込む決定打は得られませんでした。