今回、編集部は特別に開店前の厨房へ潜入する許可を得た。仕込みの手を止めることなく、板長が語ったのは食材への底知れぬこだわりだ。「仕入れに妥協したら、お客様の舌はごまかせない」。毎朝4時、全国の港からダイレクトに届く食材の厳選から彼らの1日は始まる。
地元客から仕事帰りのビジネスパーソン、さらには遠方から足を運ぶグルメ通まで、なぜこれほどまでに人々を魅了するのか。その最大の理由は、古き良き居酒屋の温もりを残しつつ、仕込みや調理技法には高級料亭と同等の手間隙をかけている点にある。一見するとシンプルな煮物や焼き物であっても、素材ごとに異なる一番出汁を取り分け、火入れの温度を1度単位で管理する。この徹底した細部への執着こそが、一度訪れた者を虜にして離さない看板の理由だ。