SNSやネット掲示板では時折、「宇宙の果てには巨大な物理的障壁(壁)が存在する」「ダークフローによって引き寄せられる外側の巨大構造物がある」といったオカルト的言説が飛び交います。しかし、天文学における学術的見解は極めて合理的です。
ネット上で「壁」と形容されるものの正体は、物理的な個体の壁ではなく、前述した「光の不透明領域(宇宙の晴れ上がり面)」という観測上のスクリーンを指しています。また、宇宙マイクロ波背景放射にみられる微小な温度ゆらぎの異常(コールドスポットなど)がセンセーショナルに曲解され、「外部宇宙との衝突痕跡」といった誇大表現で拡散された経緯があります。
初期宇宙の急激な指数関数的膨張を説明する宇宙インフレーション理論によれば、ビッグバン以前の微小な空間がわずか10のマイナス36乗秒から34乗秒の間に急膨張しました。この理論が正しければ、インフレーションによって引き伸ばされた全宇宙の領域は、私たちが観測できる直径930億光年の領域に対して少なくとも10の23乗倍以上、あるいは数学的に無限大に広がっていると結論づけられます。